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According to the report by Eurostat, Danish households generated an average of 747 kg of waste per person in 2013 and was amongst the highest amount of waste generated across European countries.

Today, taking into account the rapid progression of climate change, efficient management of household waste is a crucial issue to focus on. Not only for the people of Denmark, but also for the rest of the people around the world.

This situation motivated Frédéric Hamburger to launch Denmark’s first zero-waste bulk store, “Løs Market” in Copenhagen.

Denmark’s First Zero-Waste Bulk Store

The founder of “Løs Market”, Frédéric Hamburger, had been living in Copenhagen for 20 years. One of the biggest concerns he had in his life there was about the issue of plastic waste.

As you may have also experienced, Frédéric was often annoyed at all the unnecessary plastic packaging products when he did his daily grocery shopping at a supermarket.

“Why do we need a plastic packing for just one cucumber?

Is it impossible to sell rice and pasta without individual packaging?”

These surrounding consumer conveniences made it difficult for Frédéric as he would try his best to use the least amount of plastic but most groceries already had excessive amounts of pre-packaging.

His idea to open Denmark’s very first zerowaste bulk store became widespread through the ‘Løs Market’ team’s crowdfunding campaign in 2016. The campaign attracted the attention of a significant number of the population throughout Denmark.

At the end, the ‘Løs Market’ team and Frédéric successfully gathered about 100,000 Euro for the fund and opened the ‘Løs Market’ store in September 2016.

4 Main Concepts:

‘Løs Market’ has 4 main concepts:

1. Less Packaging:

Customers can bring their own containers to fill with products, which enables them to avoid receiving unnecessary disposable packaging and reuse their own containers again.

2. Less Food Waste:

Customers can purchase the exact amount and quantity they need and they can avoid buying too much food and producing food waste.

3. Organic Products:

Løs Market contributes to giving an opportunity for the local people to have an access to organic as well as locally-produced food.

4. Circular Economy:

Løs Market contributes to the concept of circular economy by letting customers bring and use their own containers, which makes them to produce less household wastes.

(The store purchases a large quantity of each product from retailers and the packaging wastage there is far less than conventional individual packages.)

More Than 300 Products are Available:

Frédéric Hamburger: “We have almost 330 products and all of them are 100% organic, including vegetables, fruits, nuts, rice, pastas, teas, gluten-free products, soaps and more. We also handle products from local producers. ”

“Zero-Waste Delivery Service” has Started

Frédéric Hamburger:  “We believe that Løs Market should be convenient and accessible for the people in the community and hence, we started our own local delivery service. We deliver products by typical Danish cargo bikes. We collect the containers and wash them. The new practice convinced us that “zero-waste delivery service” is also possible to help the people reduce household wastes.”

Løs Market: www.loes-market.dk
Interviewed with Frédéric Hamburger (Løs Market)

Filmed, Interviewed, Written & Directed by Akihiro Yasui

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デンマークと聞くとどんな国を思い浮かべますか?

広大な草原で草をはむ乳牛、海上に並ぶ風力発電、ミニマルなデザインの北欧雑貨、環境を大切にする国民性、優れた教育システム。

日本ではデンマークと聞くと「クリーン」なイメージを持つ人が多いと思います。

2013年に遡ると、実はデンマークはヨーロッパで一番家庭ゴミを多く排出する国でした。EU統計局であるEurostatによるとその量は一人当たり年間で747kgにも及びます。

この不名誉な記録がその後、デンマークでできるだけ「廃棄」を抑え、「循環」させる社会的取り組みを活性化させたのです。

「5年間でデンマークの食品廃棄量を25%削減させることに貢献した女性」として有名なセリーナ・ユール(Selina Juul)氏や、今回紹介をするフレデリック・ハンブルガー(Frederic Hamburger)氏はそうしたデンマークのゼロ・ウェイスト活動を代表する人物として現在国内外から注目を集めています。

デンマーク初「使い捨て容器を使用しない」量り売りオーガニックストア Løs Market(ロス・マーケット)

フレデリック・ハンブルガー氏はコペンハーゲンに移り住んで20年になるフランスの方です。フレデリックがデンマークで生活をする中で長年気にかかっていたことがありました。それは不必要な梱包の多さです。

フレデリック・ハンブルガー氏:「デンマークで生活をしていると、とにかくプラスチックのごみが多く出てしまうんだ。スーパーで買い物をするときにはたった1つの野菜や果物でさえプラスチックで梱包されているからね。

1本のきゅうりを売るのに丁寧にプラスチックで包装する必要があるのだろうか?お米やパスタはプラスチックのパッケージがなければ売ることはできないのか?そう思っていたんだ。」

フレデリックは次第に「そもそもスーパーが使いすて包装容器を使用せずに販売をすれば、地域の人たちはそこで無駄なごみを受け取ることなく買い物ができ、家庭ごみを減らせるようになる」と考え、当時デンマークには前例がなかった「使い捨て容器を使用しない量り売りのオーガニックストア」を始めたいと考えるようになります。

「資金」だけでなく、「人々の共感」を集めたクラウドファンディング・キャンペーン

ロス・マーケットの仕組みはこうです。お店は全ての商品を小分け包装なしの大袋でまとめて調達し、量り売り・個数売りをします。お客さんは自分でタッパー容器やガラス瓶を持参し、その容器で商品を購入します。家庭で不要になった空き瓶や容器を寄付できるボックスも用意されており、容器を持参しなくともそのボックスから選んで使うこともできます。またロス・マーケットで扱う製品は全てオーガニックです。

フレデリックとロス・マーケットのメンバーはクラウドファンディング・キャンペーンを行い、こうしたお店が環境にとって、人々の健康にとって、そしてデンマークの社会にとって必要なことを伝えていきます。その活動はデンマーク中から共感を呼び、1500人を超える支援者から合わせて1000万円ほどの資金を調達することに成功します。2015年のことでした。

4つの経営コンセプト

こうしてロス・マーケットは2016年9月にデンマークで初めての「使い捨て容器を使用しない」量り売り&100%オーガニックのストアとしてオープンしました。

ロス・マーケットには4つの経営理念があります。

1. 不要な梱包を極力減らすこと

ロス・マーケットのお客さんは自分たちで持ってきたガラス瓶やタッパー容器に商品を詰めて購入することができます。容器を持たずに来店した場合でも、使用済みグラスが寄付されているボックスの中から無料で使用することができます。

ロス・マーケットの狙いはそれによって、地域全体で協力をして梱包ごみを減らすことです。ごみの量が減れば処理にかかっている税金負担が減り、より住みやすい街になることも地域住民がごみを減らそうとする動機づけの一つになっています。

2. フードロスを減らすこと

特に一人暮らしをする中で、スーパーで食べきれないほど購入してしまった経験はありませんか?ロス・マーケットでは「必要なものを、必要な分だけ」購入できるので家庭で食べきれずに捨てられてしまうロスを減らすことができます。

食品廃棄といえばスーパーやコンビニの売れ残りを思い浮かべる人も多いかと思いますが、各家庭で「食べきれずに捨てられてしまう」フードロスの量も世界各国に共通して多いのです。日本ではその量は食品廃棄量全体のおよそ40%にも及ぶと言われています。

(参照:フードロス・ジャーナリスト井出留美さんの記事)
https://news.yahoo.co.jp/byline/iderumi/20180622-00086818/

3. オーガニック製品

ロス・マーケットでは自然環境と自分たちの健康の両面の理由から扱う製品は100%オーガニックを揃えています。

4. サーキュラー・エコノミー(循環的経済)

「サーキュラー・エコノミー(循環的経済)」という経済的な考え方を聞いたことはありますか?ヨーロッパでは近年、持続可能な社会のあり方、サスティナビリティ、シェアリングエコノミーなどの言葉とともに「サーキュラー・エコノミー(循環的経済)」は色々な場面で使われるようになっている言葉です。

サーキュラー・エコノミー(循環的経済)と正反対の経済的概念が、従来の大量生産・大量消費を進めてきた「一方通行型経済」です。これまでの一方通行型経済では、鉱物などの資源を採取して製品に加工・販売し、廃棄する、その名の通り「一方通行」型の経済が進められてきました。

しかし、現在では地球上の資源は枯渇し価格は上昇、増え続けたごみや年中稼働し続ける生産体制は気候変動に大きく寄与していると言われています。これまで進められてきた「一方通行型経済」に限界が見え始めているのです。

そこで、近年ヨーロッパの各都市で進められているのが「循環型経済」サーキュラー・エコノミーです。サーキュラー・エコノミーの概念をわかりやすく説明すると、

 

・新しい資源を採取するよりも、既にある資源を活用する

・「廃棄」するよりも、何度も繰り返し使える「循環型の仕組み」を進める

・モノが使われていない時間を、シェアなどによって減らしていく(カーシェアリング、Airbnbなど)

・上記の概念で環境負荷を減らしながらも、経済的成長にも繋げる

 

このサーキュラー・エコノミーの理論は経済と環境の両面から整合性が取れていることがアクセンチュアなどいくつもの研究機関で証明されており、既にアムステルダムでは市の経済政策の根幹としてサーキュラー・エコノミーが進められています。

話をロス・マーケットに戻します。ロス・マーケットでは利用者に容器を持ってきてもらうことで「新しい資源を使うよりも、既にある資源を使う」というサーキュラー・エコノミーの考えを進めています。また、「廃棄するよりも何度も繰り返し使える循環型の仕組み」も導入しており、「経済的ビジネス」にもなっている、サーキュラー・エコノミーのお手本とも言える活動になっています。

(もちろんロス・マーケット自体も既に梱包された商品を調達しているのですが、まとまった量を購入しているため、個別に包装されているものよりも最終的なごみの量ははるかに少ないのです。)

300種類以上の品揃え

ロス・マーケットには野菜や果物、飲みもの、穀物、ナッツ類の食品はもちろん、石鹸やシャンプー、コスメティックなどの日用品も取り扱っています。また、グルテンフリー食品も揃えています。その品数は330品目にも及び、生活に必要なものはほとんど全てこちらで購入できるほど取り揃えています。

「ゼロウェイスト・デリバリーサービス」

高齢者や生活上の理由でロス・マーケットに訪れられない人にも「使いすて容器を使わない」コンセプトのお店を利用してもらうために、ロス・マーケットではデリバリーサービスも行なっています。

その仕組みは、利用者はオンラインで注文を行い、ロス・マーケットが提携するプロジェクトがカーゴバイクで品物を届け、その際に利用した容器はロス・マーケットが洗浄・再利用するという仕組みです。

 

 

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ロス・マーケットのような「使いすて容器を全く使用しないオーガニックストア」はヨーロッパ全体で近年急速に増えつつあります。ドイツでは2012年に同じコンセプトのお店の第1号店がオープンし、わずか5年の間にドイツ全体39店舗にも増えています。私の印象ではヨーロッパで人々が生活する中で「各街に必ず一つ必要とされている場所」になりつつあると思います。

2018年現在、ドイツの「使いすて容器を全く使用しないオーガニックストア」の位置を示した地図:

(参照:Utopia “Verpackungsfreier Supermarkt: einkaufen ohne Verpackung”)

デンマークのロス・マーケットはコペンハーゲン中央駅から徒歩15分ほどの中心部に位置しています。日本にすると東京や大阪の真ん中に位置するような形です。「ロス・マーケットのようなストア」と「従来のスーパーマーケット」のどちらがよりよいのかということではなく、街の中に色々な選択肢があることが一つのコミュニティーとして住みやすい街づくりに繋がると思います。その中で、ロス・マーケットのような環境と健康により配慮したストアを利用する人が増え、地域で出るごみが減ることが望ましいのではないかと思います。

自分たちの身のまわりでも「廃棄」の代わりに「循環」させられるもの、探してみませんか?

Løs Market: www.loes-market.dk
Interviewed with Frédéric Hamburger (Løs Market)

Filmed, Interviewed, Written & Directed by Akihiro Yasui